交通事故に遭ってしまった際に使うことになるのが自賠責保険と任意保険です。みなさんは自賠責保険と任意保険の内容の違いは理解していますか?今回は自賠責保険と任意保
・・・(続きはこちら) 交通事故に遭ってしまった際に使うことになるのが自賠責保険と任意保険です。みなさんは自賠責保険と任意保険の内容の違いは理解していますか?今回は自賠責保険と任意保険の違いについて紹介していきます。
自賠責保険について
自賠責保険は、交通事故被害者の救済を目的として、自動車などの運転者に加入が義務付けられている保険です。
自賠責保険の補償は、人の死亡やけがが対象です。ただし、眼鏡や服といった、当事者の身につけているものの破損は、人身事故の一部として扱うので、自賠責の補償対象に含まれます。
自賠責保険と任意保険の違い
自賠責保険は、車などを運転する全ての人が加入しなければならない保険です。重要なことは、人身事故が起きた時、初めに適用されるのが自賠責保険であることです。
損害額が確定したら、まずは自賠責保険で補償することになります。しかし、自賠責だけでは足りない部分があった場合、その差額を補償するのが任意保険の役割となります。
自賠責保険は加害者も被害者も請求可能である
自賠責保険のもう一つの特徴として、被害者だけでなく加害者にも、保険金を請求する権利があるという点があげられます。
被害者請求は、交通事故でけがを負った被害者は加害者が加入している自賠責保険の会社に対して、保険金の支払いを直接請求できます。
反対に、加害者側が自賠責保険を請求する加害者請求も可能です。この場合は、はじめに被害者への損害賠償を完了させてから、自分が加入している自賠責保険会社に保険金の支払いを求めることになります。
自賠責保険と任意保険における過失割合の違い
自賠責保険や任意保険には、状況ごとの過失割合が設定されています。自賠責保険と任意保険の、過失割合の考え方の違いや、保険金にどのように影響を与えるのかをみていきましょう。
交通事故による過失割合の定義
交通事故における過失割合とは、被害者と加害者それぞれが交通事故で被った損害に対して、相手方の責任がどれだけあるかを示すものです。
ほとんどの交通事故では、加害者だけでなく、被害者にも安全確認の不足などの原因があります。過失割合は、これを比率として数値化し、保険金の支払い額の修正要素とするために使われています。
具体的には、被害者側の過失に対する責任として、加害者に請求できる賠償金の金額が過失割合に応じて減額されます。過失割合が支払総額に影響するという点では、自賠責も任意保険も基本的には共通している内容です。
自賠責保険の過失割合
自賠責保険では、被害者の過失割合が7割を超えた時のみ減額(重過失減額)されます。過失割合が7割に満たない場合は、満額での支給です。
過失割合による自賠責の減額率は、死亡または重篤な後遺障害が残った場合で最大5割です。一般的な傷害事故では、2割程度の過失割合が計上されます。
任意保険の過失割合
一方、任意保険では、被害者の過失割合に応じて支払額を減額(過失相殺)します。例えば、被害者の過失割合が2割なら20%、7割なら70%が支払額から減額されるということです。
過失相殺では、交通事故の種類が死亡事故や後遺障害事故、通常の傷害事故のどれであっても過失割合への影響はありません。仮に、総額120万円の保険金請求権に対して、被害者の過失割合が5割であれば、実際の請求額は60万円となります。
こうしてみていくと、重過失減額のしくみがある自賠責保険は、任意保険に比べて、過失割合の影響を受けにくい保険だということができます。
ただし、また、被害者の過失割合自賠責保険で補償されるのは人身事故に限られ、物損の補償は過失割合に関わらず対象外です。が100%の時は、自賠責保険を請求することはできなくなります。
自賠責保険に慰謝料を請求する方法と支払限度額
次に、自賠責保険会社に慰謝料を請求する方法を見ていきましょう。自賠責から支払われる保険金の限度額は、被害者に障害や後遺障害がある場合と、死亡した場合で変わってきます。
被害者請求で自賠責保険に請求する
被害者が自賠責保険を請求したくても、交通事故による入院などで収入が途絶えてしまった場合は、生活が行き詰ってしまいます。しかし自賠責保険は、損害額が確定する前に請求することはできない決まりです。
こうした事態を防ぐため、自賠責の被害者請求には、保険会社に損害賠償額の一部を先に渡す「仮渡金制度」が認められています。仮渡金は、死亡事故で290万円、傷害は5万円~40万円です。
自賠責保険による支払限度額【傷害・後遺障害】
交通事故により傷害を負った場合の、自賠責保険での支払限度額は、被害者1名あたり最大120万円となります。この金額は、治療費や入院中の諸経費、診断書などの費用だけでなく、慰謝料や休業損害、交通事故証明書発行手数料も含めた総額です。
また、後遺障害による損害では、その後遺障害の等級や介護の必要性によって、慰謝料や逸失利益を含めた支払限度額が変わってきます。
自賠責保険による支払限度額【死亡による損害】
一方、死亡による損害では、被害者一人あたりの支払限度額は3,000万円となっています。この金額は、逸失利益や慰謝料、葬儀費用を含めたものです。
また、交通事故から死亡までに、被害者が負った傷害による損害はこの費用には含めず、最大120万円まで別途支払われます。被害者の受けた損害額が120万円を超える場合は、差額を加害者が加入する任意保険会社に請求します。
自賠責保険は被害者の過失割合が高いときに有利である
自賠責保険は、被害者側の過失割合が高い場合でも有利な制度として作られていることが分かりました。被害者・加害者のどちらにせよ、交通事故の当事者にならないのがベストです。
しかし、自分が被害者となった交通事故で過失割合が高いようであれば、自賠責保険の請求を考慮するのも一つの方法ではないでしょうか